3月28日 着隊
地方協力本部から、マイクロバスに揺られ駐屯地まで運ばれる。
当時のバスの中の雰囲気はあまり覚えていないが、みんな会話は無く緊張していたと思う。
2時間ほどマイクロバスに揺られ駐屯地に着く。
その時の心境は、「とうとう来てしまった」という気持ちだった。
それも当然だった。
部活は野球部だったが、中学までしかしておらず、高校からは帰宅部。
運動なんてまるでしていなかったのだから。
それでも「フリーターを続けるよりはまし」という思いで志願した。
ただ、前期教育が少しでもキツかったら辞めようと思っていた。
それがまさか、4年も続くとは。
駐屯地に着くと、必要書類を提出し、ホワイトボードで自分の班を確認した。
「10班か」
端の方の営内班だったので、他の班長を横目に見つつ、自分の営内班に向かう。
「さっきの班長は小柄で優しそうだったなぁ」
自分の班長も優しそうだったらと願いつつ、営内に入る。
「ジャージに着替えて待っとれ」
低く、訛った声が聞こえた。どうやら他の班員がいるようだ。
そして班長は振り返って僕に気づいた。
「髪長げぇのがきたな笑」
熊みたいな見た目をした班長が僕にそう言い、「お前もジャージに着替えろ」
僕はそれに従い着替える。
そしてその後、他の営内班員や営内班付きなる陸士長と自己紹介をし、1日目が終わった。